相続放棄
相続放棄の費用
1 相続放棄の費用の概要
相続放棄に必要な費用は、大別して以下の3つがあります。
①相続放棄の準備に関する費用
②相続放棄の申述をするための費用
③専門家に依頼した場合の費用
以下、これらの費用の内容にについて詳しく説明します。
2 相続放棄の準備に関する費用
相続放棄は、相続放棄申述書を作成し、戸籍謄本や住民票除票などの添付書類を管轄の家庭裁判所に提出することで開始される手続きです。
相続放棄の申述の際に最低限収集しなければならない書類は、申述人(相続放棄をする相続人)の現在の戸籍謄本と、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本、被相続人の最後の住所地を示す住民票除票または戸籍の附票です。
被相続人の最後の住所地を示す住民票除票または戸籍の附票は、管轄の家庭裁判所を特定するために必要となります。
被相続人が申述人の子や兄弟姉妹である場合には、集めなければならない書類が増えます。
具体的には、上述のものに加えて、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得する必要があります。
被相続人が婚姻と離婚を繰り返していたなどの事情がある場合には、多数の戸籍謄本を収集しなければならないことがあります。
これらの資料の収集にかかる費用は、一般的には数千円~1万円程度です。
3 相続放棄の申述をするための費用
相続放棄の申述の際には、相続放棄申述書に800円分の収入印紙を添付して提出する必要があります。
また、相続放棄申述受理通知書などの発送に用いられる予納郵券(切手)も納付する必要があります。
予納する切手の金額は家庭裁判所によってある程度異なりますが、数百円程度です。
相続放棄の申述先となる家庭裁判所が遠方であり、郵送で相続放棄の申述を行う場合には送料も必要となります。
4 専門家に依頼した場合の費用
弁護士等の専門家に相続放棄を依頼した場合の費用は、事案の難易度によって異なりますが、一般的には数万円~十数万円程度です。
法定単純承認事由が存在する可能性の有無や、被相続人死亡日からの時間の経過状況などによって、費用は変わってくると考えられます。
例えば、被相続人が死亡してから3か月以上経過している状態で相続放棄の申述をするケースにおいては、「相続の開始を知った日」から3か月以内に申述をしている旨の説明をする必要があります。
そのため、相続放棄申述書を作成する際に、家庭裁判所に対する事情説明を付す必要があり、費用も高くなることがあります。